几号(きごう)水準点とは明治初期(明治初年からとも、明治7年、明治9年からとも)に高低測量を行うために設けた基準となる測量点です。 イギリス式の測量法に従って漢字の「不」に似た記号を不朽物(恒久的に残るであろうもの)に刻印したり、「不」を彫った標石を埋めて水準点としました。
図のように掘られた几号に専用の器具をつけると椅子(ベンチ)のようになり、英語でいうとBenchmarkと言います。パソコンの性能測定のベンチマークテストの語源ともなっています。パソコンと繋がるとは不思議です。

不朽物に刻むというところにも意味があります。几号水準点は、石垣や門、神社仏閣の鳥居、灯篭、狛犬などの石造物、恒久的に残るであろうと思われるものに直接、刻まれました。
なので几号水準点を捜し歩くと自ずと観光地を旅した気分になります。これも几号水準点探しの楽しみです。(江戸城天守台、江戸城の数々の門、愛宕山、靖国神社、湯島天神、市谷亀岡八幡、神楽坂毘沙門天、日比谷公園、ニコライ堂、赤坂見附等)
明治の初めは内戦も多く、陸軍が陣地設営のためにも地形の高低を知っておく必要がありました。
実際、東京では上野戦争で地形周知の重要性を知っていたはずです。東京は起伏に富んだ坂の町、山がちなところです。
しかし、明治17年に陸軍の陸地測量部がドイツ式の測量方式を採用したため現行の水準点にバトンタッチ。几号水準点はまさに産業遺物となって、地図オタの聖地?になるのでした。

不朽物に刻まれたがために残っているものも多いです。東京では約300箇所設置されたといい、都心に40以上(公的記録のあるもの、公的記録のないもの含む)残っています。
『不』の字が刻まれた石でも、研究されている方がおっしゃるには几号水準点と付属予備点というものがあるとのこと。
水平刻印の几号
普通なら垂直面に刻印さている几号ですが、水平に『不』の字の几号を刻印され、地面に埋められたものもあります。
これらは、三角測点及び三角補助点の付属予備点と云います。
三角点や補助点が紛失、亡失した時に付属予備点が使用されたようです。
一般には『不』が刻まれているだけで珍しい石です。ここでは広義に几号水準点と呼ばせていただきます。
几号水準点のことを知っていると何気なく訪れたところでお宝探しができます。几号水準点をみつけたときは、そこはかとなく嬉しくなり、まさに都会のオリエンテーリングです。
都心に残る44個の「不」の字
私の知る限り、東京23区内には、44個の几号水準点及び付属予備点が残っています。
それら全てを周ってみて思うのは、観光名所ではなく、几号がなければ、行こうとは思わないところでも、落ち着いた素敵なところが多いようです。
知らない神社お寺、名も無き路傍で、どうぞ、宝探しをお楽しみください。
都心の几号水準点グーグルマップはこちら
またはマップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。
撤去等で年々、数が少なくなっています。撤去されていたら、ご報告ください。
港区
渋谷区
港区・渋谷区の几号水準点グーグルマップはこちら
または下記マップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。
千代田区
- 赤坂見附の几号水準点
- ニコライ堂の几号水準点
- 大手門の几号水準点
- 日比谷公園に残る2つの几号水準点
- 桜田門の几号水準点
- 江戸城天守台の几号水準点
- 竹橋の几号水準点
- 田安門の几号水準点
- 靖国神社大燈篭の几号水準点は何処から
- 新見附の几号
中央区
皇居周辺の几号水準点グーグルマップはこちら
または下記マップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。
足立区
荒川区
荒川区・足立区グーグルマップはこちら
または下記マップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。
台東区
台東区の几号水準点はこちら
または下記マップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。
文京区
文京区の几号水準点グーグルマップはこちら
または下記マップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。
新宿区
新宿区の几号水準点グーグルマップはこちら
または下記マップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。
北区
- 変わり種 北赤羽の諏訪神社の几号水準点
北赤羽の諏訪神社の几号水準点グーグルマップはこちら
または下記マップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。
江東区
江東区の几号水準点グーグルマップはこちら
または下記マップ右上の拡大表示ボタンをクリックしてグーグルマップでご覧ください。