傘谷坂近くの謎のお像 (後編)

前編のあらすじ

FP友のガンダム女史から頂いてしまった難問。謎のお像、徳利、石垣。

傘谷坂の謎のお像

調査の結果、魔除けの神猿(まさる)人形(まさるー魔が去る)、家内安全を祈願する丸八マークとほぼ判明。FBグループの皆様のお知恵と、お江戸、明治、昭和の地図を駆使して、徐々に謎も解けるも、石垣の上には何があったのかは不明。これは超難問です。ガンダム女史に殴られたくない一心で必死に調査しています。

icon-arrow-circle-left前編はこちら

傘谷坂へと走る

前編で調べたことを検証するために傘谷坂(からかさだに坂)へと走ります。なるほどぉ〜、傘谷というくらいですから、谷に向かって坂道が南北から下っています。

傘谷坂

傘谷坂説明板傘谷坂 からかさ(かさ)だに
 傘谷をはさんで、向き合う二つの坂をいう。改撰江戸志という書物によると、傘谷は、金助町(旧町名)の北の方にあって、傘づくりの職人が多く住んでいた窪地である。それで傘谷、傘坂の名がついた。
 金助町に生まれた歌人・岡麓(おかふもと)は、大正12年の大震災で家が焼け、その焼け跡で、
 "あさはかに 家居(いえい)移しし 悔心(くいごころ) このやけあとに 立ちて嘆(なげ)かゆ。"とよんだ。
文京区教育委員会
 平成3年3月

古地図:金助町この坂道説明板にも前編で調べた牧野金助由来の「金助町」がありますねぇ。

そして現在、傘谷坂の名所と言えば、
我らが日本サッカー協会、「日本サッカーミュージアム」です。

サッカーミュージアム

お像を検証

傘谷そして路地に入り、多々工事中のエリアにある問題の石垣に到着。
お像のある場所、お像と徳利の位置関係は以下のよう。二つとも10cmにも満たない小さなものです。ガンダム女史は、よくこんなものをこんなところで見つけたものだと感心してしまいます。

石垣のお像の位置
石垣のお像の位置
お像と徳利の位置関係
お像と丸八マークの徳利

お像と徳利は朽ちかけた大谷石の石垣の隙間に収まっています。
うわわw、お像の前にロウソクが立っているではありませんか!

神猿人形おいおい、誰かがお参りしてるみたいぞ〜、なんか怖っ
怖いので、手を合わせます。
そして、よーく見ると、やっぱ、お猿さんだわぁ、こりゃ。烏帽子をかぶった魔除けの神猿(まさる)人形と確信しました。
また、クリック拡大でよくわかると思うのですが、胸で腕を交差させて、真横を向いているように見えませんか?「神猿(まさる)=魔が去る」と同時に「真横=まよけ」の意味もあるのでしょうか(?ω?)。
どなたかご存知の方教えてください。
河童やカラス天狗に見えたのはお顔が泥で汚れているからですね〜 (≧∇≦)。
この石垣の裏側(南側)は坂道になっていて、東側から坂を登れば、石垣の上に行けます。

石垣の上は駐車場

石垣の上石垣の上は駐車場になっていて、南側の高台、坂道から張り出すようになっています。
駐車場には元々あった建物の痕跡はありません。。。坂道社長ピンチです。
また、下から見てみようと思い、石垣を見上げる北側の低い道へ向かうと、作業服を着た中年紳士が立ち電話をしています。石垣の近くの家から出てきたようです。そこはペンキ屋さん?

ペンキ屋さん近くの看板を見るとペンキ屋さんのおじさまかと一瞬思いましたが、そこは坂道探偵らしく鋭く観察。
作業服にペンキの汚れはなく、ピッシッとキレイ清潔です。
指、爪にもペンキの付着は無い。
社長さんか?いや、シンナー臭も無いなあ、どうでしょうか?
この紳士が電話を終えたので、チャンスと思い、お像について聞いてみました。
神猿人形「ああ、この像。知らん。そこの家の変なおじさんの趣味みたいだよ」と言って近所の家を指差します。
えっ?、はっ?、はあぁщ(゚Д゚щ)、
へぇっ、変なおじさん⁇
「志村かよっ」、と頭の中でつっこむ私。おじさまは続けて
「この辺は昔から医療機器の街だったんだけど、今じゃ、ホント少なくなったねぇ、サンヨーもサッカー協会にビルを売っちゃったしねえ。変わってしまいましたよ」と建設中の一角を見ながら話します。
おっとぉ〜、期せずして出てきました医療機器の話。私が怪しいと睨んでいた昭和32年文京区医療機器産業地図が役立つかもしれません。

昭和32年文京区医療機器産業地図
昭和32年文京区医療機器産業地図。斜線が医療機器メーカー、赤丸が石垣の位置。

どうやらお話好きの紳士のようです。しばらく聞いてみましょう。
「そういう私も医療機器の修理をしています」
どうりでキレイな指先をしているわけです。
「ああ、お隣のペンキ屋さんと棟続きだからねえ笑、僕の会社はこっち」
傘谷「今、工事しているあそこはねえ、レントゲン、歯医者で使うようなレントゲンを作っていた会社だったんだよ。ここには40年間通っているかなあ。家は千葉だけどね」
しめたっ!、石垣の上には何があったのか知っているはずです。聞いてみます。
「この石垣の上かい?昔はねえ、義足、日本で一番の義足を作る会社だったんだよ。」
へぇー、なるほど、医療系ですが、義足は医療機器とは言えないのかな?補装具?医療機器地図にないわけです。
「義足屋さんはねえ、今では大通りに移転してるよ」と移転先まで教えてくれました。
その時、会社から奥様らしい方が呼ぶ声が……。
私は丁重にお礼を言い、その場から走りました。

田沢製作所

湯島御霊社
湯島御霊社

走って帰る途中、移転していったという、義肢装具の田沢製作所が旧東富坂と新東富坂に挟まれる位置にありました。

後に調べた結果、旧湯島新花町は湯島御霊社の氏子のエリア。「変なおじさん」も湯島御霊社の氏子さんなのでしょう。
一件落着!仔細をガンダム女史に報告すると、、、
「よくやったわねぇ〜、呑みに連れってあげるわぁ」
えっ(*’д’*)、また殴られるかもしれない。
私も「神猿(まさる)人形」が欲しくなりました。
お後がよろしいようでm(_ _)m

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