熈代勝覧タイトル

お江戸日本橋の風俗絵巻をゆく3三越周辺

今川橋から銀町、石町、十軒店を過ぎると絵巻は日本一の豪商・三井越後屋周辺へと。三井越後屋は文化四年(1807年)の「三井越後屋江戸屋敷絵図」によると室町二・三丁目、駿河町のほとんどを占めている日本一の豪商。

赤部分が三井越後屋(三井文庫論叢より)。
赤部分が三井越後屋(三井文庫論叢より)。

三井越後屋

東京広しといえども江戸時代からそこにあるデパートは上野松坂屋と日本橋三越だけ。

上野松坂屋
上野松坂屋。
日本橋三越
日本橋三越。

日本橋三越は新館も出来てさらに大きく。

三越新館
日本橋三越新館。
古地図:嘉永三年(1850年)日本橋北内神田両国浜町絵図より
古地図:嘉永三年(1850年)日本橋北内神田両国浜町絵図より。

切絵図で気になるのは日本橋通りから浮世小路を入ると大きな敷地の「イナリ」。これはコレド室町の隣に今も残る福徳稲荷。

福徳稲荷

家康公も秀忠公も参拝したと伝わる古い稲荷で、往古、皮付きのクヌギで作った鳥居から芽が出たというありがたい縁起から別名、芽吹稲荷。

芽吹稲荷

このような大きい稲荷だけでなく銀座同様、路地を少し入ると、地神・屋敷神を祀った稲荷がたくさん。「江戸に多きもの 伊勢屋、稲荷に犬の糞」を彷彿とさせ、これもお江戸日本橋歩きのおもしろいところ。

白旗稲荷神社、家内喜稲荷神社、両社稲荷神社、稲田稲荷神社、豊川稲荷
白旗稲荷神社、家内喜稲荷神社、両社稲荷神社、福田稲荷神社、豊川稲荷。

銀座の路地裏探検・お稲荷さん巡りを参照

通本町

通本町

印は以下に拡大画像と注釈があります。

米つき屋

米つき屋

杵を担いで臼を転がしお客の店先まで移動。お餅をついたり精米したり。

かんざし売り

かんざし売り

傘にたくさんのかんざしを吊るしての売り歩き。

老婆の一行

老婆の一行

火事で消失した本堂を再建するため、寄付を募る一行。ご老人の江戸見物、運動を兼ねての老人クラブのようなもの。

六十六部衆

六十六部

仏像を背負い南無妙法蓮華経を唱え諸国の札所を巡礼。犯罪者が村を追放されるとき、六十六部衆になることもあったとか。路銀が無くなると祈祷してお布施を頂きます。

読売

読売

あやしい、あやしい。傘を深々とかぶり顔を隠す二人は江戸市中一の早耳。心中事件、仇討ち、幕府のゴシップなどのニュースを読み上げますがガセネタも多く取り締まりの対象に。一人は記事を読み上げ、一人は見張り。「続きは読んでのお楽しみ……」と瓦版を売ります。ご存知、読売新聞の社名のもと。

水売り

水売り

汲みたての冷たい井戸水を売り歩く。井戸を汲むため釣瓶桶をいつも持っています。

町のコンビニ・番屋

辻番小屋

町の警備を担う番屋には収入補助の副業が許されます。ここでは日用品を多く扱っています。

町娘に大評判の化粧品「玉屋」

玉屋

京都に本店を持つおしろい・紅問屋。このころは「雲井香」という香料が大ヒット。店内の器も艶やか。

鳥刺し

鳥刺し

長い鳥刺し棒を持ち、将軍の鷹のためと称して餌の捕獲名目でどんな屋敷にも出入りできる特権持ち。諜報活動もする探索方だったとか。

室町三丁目

室町三丁目
クリックで拡大。
室町三丁目交差点
室町三丁目交差点。

猿まわし

猿まわし

絵巻中で唯一のサル登場。人気者で子供達が寄ってきてはしゃいでいます。犬猿の仲の犬も。

屋台の鮓屋

屋台の寿司屋

お江戸で鮓屋といえば、もっとも一般的なのが屋台形態。

漆描き

漆描き

天然漆の水分を飛ばすため店頭で天日干ししながらかき混ぜています。いまもかわらぬ伝統工芸の手法。

石見金山ねずみ捕り

石見金山ねずみ捕り

石見銀山で採れる砥石で作った殺鼠剤を売り歩く。お江戸では米を食い荒らすネズミが大発生。正式には石見銀山ですがハクをつけて石見金山。

廻り髪結い

廻り髪結い

美容師の出張サービス。一般庶民は浮世床に通いますが大店では髪結いを呼び寄せます。

祷者

祷者

妙な風体のこの男は加持祈祷を行う祷者。難癖つけて店々の前で祈祷。宗教の押し売り系職業。

金比羅参りと手遊び売り

金比羅参りと手遊び売り

背に担ぐは金毘羅大権現のシンボル、天狗のお面。金毘羅参りのPR活動とお参りに行けない人には祈祷してお布施を頂きます。

手遊び売りとは子供がもて遊ぶオモチャ売り。天然痘の予防に効果があるとされた赤いものが人気。

結納品と古着屋

古着屋と結納品

家紋の入った布の下にはアワビ、スルメ、昆布、鯛など。日本橋通りは家紋で婚礼をアピールできる絶好の場。日本橋には結納品専門店が多くあります。

竿に衣類やほどいた古い生地を掛けて売り歩く古着屋。リサイクルが徹底していたお江戸のこと、一般庶民の衣生活でも古着が主流です。

おのぼりさん

おのぼりさん

旅姿の二人は中山道をのぼって来たのか?指差す方向には日本一の豪商・三井越後屋。

駿河町の三井越後屋

駿河町
クリックで拡大。
三井越後屋絵図
クリックで拡大。
江戸桜通り
江戸桜通り。

三越デパートと三井銀行本店の間の駿河町通り(現・江戸桜通り)は三井越後屋江戸屋敷絵図をみると町のほとんどが三井越後屋が占めています。遠景には富士山が見え、大都市・江戸の象徴的な風景となります。

東都名所「駿河町之図」安藤広重画
東都名所「駿河町之図」安藤広重画。
江戸名所図会より駿河町
江戸名所図会より駿河町。

オシャレなお客さん

三井越後屋のオシャレな客

駿河町通りには仕立てたばかりの着物を着るオシャレなお客さんが闊歩。三井越後屋では反物から仕立てまでで二刻(約四時間)の急ぎ誂えのコースもあり。ただしお支払いは「現金掛値無し」。

禰宜(ねぎ)

禰宜

鈴を鳴らして客引きをする伊勢大神宮のお札売り。伊勢出身の三井越後屋にあやかって出没。

回向院本堂再建の一行

回向院本堂再建の一行

文化二回向院この熈代勝覧絵巻の成立年代をあらわす最も重要なシーン。下男の持つ箱に「文化二 回向院」の文字が……。
本所の回向院は天明三年(1783年)の大火で消失。寺社奉行は「公儀御免之勧化」といわれる本堂再建のための勧進の許可を出しています。このことから先頭を行く僧侶は回向院の住職十三世・聞誉。

回向院
回向院。

当時の時代背景、職業・風俗が手にとるようにわかる熈代勝覧絵巻です。


いよいよ日本一にぎやかな日本橋の魚河岸へ

日本橋魚河岸周辺へとつづく

中央区トップへ

 

シェアはご自由にどうぞ。