謎の門(目白御殿南門)

朽ちてゆく門と幽霊坂


小布施坂(坂下より)
小布施坂(坂下より)

小布施坂を調査中に、偶然、見つけてしまった謎の門。ご近所のマダムも気がつかない場所でひっそりと静かに朽ちていく姿は、歴史を消し去る意志を秘めているかのようです。
後日、坂道探偵社、親愛なる、そして頼りになる助手のワトソ子くんを呼びたし、調査再開です。

椿山荘裏門
椿山荘入口「冠木門」

江戸川公園で待ち合わせ、怪しげな現場へ向かおうとすると、ワトソ子くんは、急に言い出します。

「坂道社長、わたくし、椿山荘行ったことがございませんの」
「え(*’д’*)、ラブラブの旦那さんと永青文庫に春画展を見に行ったって言ってたしょっ(*´艸`*)。永青文庫行く途中だよ」
「入口はありましたが、正装じゃなくて入りにくいんですのよ」
「そんなことないよ、僕はいつもジャージ姿の汗だくで入って行くよ。それに門番のおじさんは笑顔で迎えてくれるし」
「そうだったんですかぁ〜、行きましょう!(人‘▽‘☆) ルン♪」

ワトソ子くんの横顔は笑みを浮かべ、大股歩幅で、ずんずんと私を置き去りにするかのように歩いていきます。
一旦目的が決まると、黙々と歩みをすすめる六尺五寸の大女。
またまた、歩行スピードが早いんですけどぉ(´д`;)アァ…。
走ったほうが早い、疲れないと、いつも言うのですが、相変わらず、早歩きのワトソ子くんです。

椿山荘で、しばし撮影

椿山荘

椿山荘の裏門で門番のおじさんに挨拶すると清々しい挨拶が返ってきて、いつもながらに別世界への入口が温かな気温を保ちスムーズさが増します。

椿山荘の庚申塔

「だろぉ、ワトソ子くん、入りやすいでしょっ(*´艸`*)」
「ええ、これが竹裏渓の坂道ですね、あっ!この庚申塔のお猿さん、坂道社長に似てるぅ」
「どこが?」
「鼻が大きくて、目の細いとこ(*´艸`*)」
「(*´Д`*) 〜з、そう言われてみると、、、囧rz」

いつもより、数段、明るく無邪気なワトソ子くん。
この清々たる椿山荘の空気の中で、しかめっ面している人は誰一人としていません。
ワトソ子くんはおもむろにショルダーからミラーレス一眼を取り出します。
「あれっ?そうか、最近、写真にハマっているんだったね」

伊藤若冲の五百羅漢「うわぁ、伊藤若冲の五百羅漢、ワクワクしますわぁ」

と、撮影ごころに火がついたようです。大きな女が、石と会話しているかのようです。

五丈の滝「ワトソ子くん、裏側から滝が見れるんだよ」
「行きましょう!ルンルン(人‘▽‘☆) ルン♪」
えっえええー!ルンルンってぇ、まさに昭和の女丸出しの彼女は、相当、椿山荘が気に入ったようです。
今日ばかりは、彼女任せの写真でラクラクです。

五丈の滝(裏側から)
五丈の滝(裏側から)

椿山荘の河津桜無邪気なワトソ子くんと園内を一廻り。

「ワッ、ワトソ子くん、そろそろ日が暮れしまいますよ」

その後もあちこち廻り、寄り道ばかり。
やっとのことで、朽ちた門の現場へ。

ついに本題、謎の門の正体は?

「ここだよ、ワトソ子くん。なんだと思う?この幽霊屋敷のような門」
「はい……」
いつもように、ぶっきらぼうで冷静な眼差しに豹変する彼女は周囲を見渡し、位置関係を把握。黙々と撮り始めます。

目白御殿南門

目白御殿南門

目白御殿南門

目白台運動公園「坂道社長!ここは目白台地の斜面の下ですね。周囲を調べましょう!」
と、ワトソ子くんは言いながら、門の近辺を地図を見ながら早歩きで探索します。

豊坂を登り、目白台地の上にある豪邸、田中真紀子邸前を通り、目白台運動公園へ。目白台運動公園は謎の門の裏側にあたります。通路はあるようですが、門までは降りて行くことはできずに見えずじまい。

田中真紀子邸入口
田中真紀子邸入口
目白台運動公園
目白台運動公園
目白台運動公園南出入口
目白台運動公園南出入口
幽霊坂
幽霊坂

幽霊坂の途中からも目白台運動公園へのアクセス(南出入口)がありますが、ここから入って行っても、謎の門は見えません。

「ワトソ子くん、どうしよう(*´Д`*) 〜」
「まだ、諦めませんわ、地図がございます!」

幽霊坂への入口
幽霊坂坂下。少し登って西側に目白台運動公園南出入口があります。

謎の門(目白御殿南門)幽霊坂を降り、また元の門の位置へと戻ります。
執念を燃やすワトソ子くんの目はメガネの奥で光っています。
この辺りの古い航空写真を見ながら、私に言います。

古地図:昭和20年代の航空写真
昭和20年代の航空写真。赤矢印が新目白通り、青矢印が神田川、赤丸が謎の門の位置。

「坂道社長!目白台運動公園をググってください!」
「はっ、はい!」

鬼神の如き執念のワトソ子くんに圧倒され、言われるがままにググると、あるページに、

国家公務員共済組合の目白台運動場痕に、角栄さんの「目白御殿」の一部が合わさって巨大な目白台運動公園としてオープンした。
「文京区立・目白台運動公園」は、広さ1万㎡の広大な運動公園、野球場2面、テニスコート4面などを備える。
そのうち、故・田中角栄元首相の土地は、公園全体の5分の1を占める。

とあります。
目白台運動公園は、元々、運動場で、目白御殿と合わさって大きくなったらしいです。
昭和20年代の航空写真にある新目白通り沿いの広大な平地は、目白台運動公園ではなく、国家公務員共済組合の目白台運動場だったのです。
次にワトソ子くんは地形のわかる昭和、バブル期の地図を見せます。

古地図:バブル期 昭和59-平成2年(1984-90年)1万分の1地形図より
バブル期 昭和59-平成2年(1984-90年)1万分の1地形図より

この地図を見ると、目白台地の豪邸群(椿山荘小布施邸など)にありがちな、斜面の下、崖下に池が点々とあります。
謎の門(赤丸)はこの崖下にあたります。

目白御殿南門「なっ、なんだと思う?ワトソ子くん」
と、問いかける私に振り返り、八重歯がキラリ( ̄ー+ ̄)。

「この門はトマソンですわ」

「えっ、えーーーщ(゚Д゚щ)」
「これは田中角栄さんの屋敷、目白御殿のトマソンですわ。元、目白御殿南門ではないでしょうか!」
と、八重歯を覗かせ、続けて、こう言います。

「今は田中真紀子さんの豪邸ですが、お父さんから相続する際、莫大な相続税を物納した一部ではないでしょうか?崖下ゆえに、目白台運動公園のグランドには利用されずに残ったのでしょう。または、土地と建物、相続者が違うとも考えられます」

目白御殿警察官詰所「おっ、おお(」゜ロ゜)」、そういえば、幽霊坂下の警察官詰所も『兵どもの夢の跡』的トマソンだ!」
「目白御殿警備のための警察官詰所も、国、都、文京区のものなのか、所有が曖昧で、残ってしまったのではないでしょうか?」
「なるほどぉ〜」

トマソン物件とは、
 市中にあり、存在してても意味がないにもかかわらず、なぜか保存されているモノのこと。

なぜトマソンと呼ぶかというと、読売巨人軍が高額で獲得した打者「ゲイリー・トマソン」が由来。彼は額面通りの仕事もできす、ベンチを温め続け、結局のところ、アメリカに帰って行ったことから「無用の長物=トマソン」という言葉が生まれた。

今回もワトソ子くんのおかげで事件解決。
帰り道、彼女は、メモリーカードを差し替え、数枚の写真を液晶から見せながら、こう言います。

千駄木のおばけ階段

「坂道社長、去年(2015年)の6月終わりに調査したこの坂、おぼえていらっしゃいます?」
「ん?思い出深いねぇ、君が坂道探偵社に入社した頃だねぇ」
「実は最近、坂下で事件があり、黄色いテープが、、、」
「えっえーーーщ(゚Д゚щ)」

次回、本当の事件発生か⁈ ワトソ子くんも走るのか?
続きはこちらから
千駄木藪下通りとおばけ階段の事件

【追記】
2016年6月8日、ワトソ子くんからの報告によると、幽霊坂下の警察官詰所は児童公園工事のため、やっと撤去されたようです。

幽霊坂下

幽霊坂下の警察官詰所跡
幽霊坂下の警察官詰所跡


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